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■メモ:「松代大本営」 地震観測に最適

 気象庁は、全国約1000か所に地震計などを配置し、地震を観測している。その中で、観測施設としては唯一、職員が24時間体制で常駐し、国外の地震にも目を光らせているのが「精密地震観測室」(長野市)だ。トンネルの奥深くに設置された地震観測の基地を訪ねた。(大山博之)

 長野市の中心部から南に約12キロ・メートルの舞鶴山(560メートル)。ふもとの集落を通り抜け、なだらかな坂道を上っていくと、平屋の建物3棟が並んでいるのが見えてきた。

 ここが、太平洋戦争末期、旧日本軍が政府の中枢機関の移転先として地下60メートルに建設した地下壕(ごう)「松代大本営」の入り口だ。今は、このトンネルを気象庁が精密地震観測室として使っている。

 橋本徹夫・室長(53)は「気象庁は大本営のために掘った坑道を利用し、1947年から地震観測を続けています」と説明する。周辺は固い地盤で、地震の揺れが増幅しない。地下深くは、車の振動など「雑音」が少ない。地震の観測に最適な条件がそろっており、世界中の研究者に精密な観測データを提供している。

 地下には、隣接して、大坑道(延長約2・6キロ・メートル)と小坑道(同約200メートル)と呼ばれる二つのトンネルがある。大坑道は、今も観測に利用している地震計が設置され、職員以外は立ち入り禁止だ。

 このため、橋本室長と小松崎均・総務係長(52)の案内で、90年頃から使われていない小坑道に入った。

 「地震計は繊細で、多少の温度変化でも観測に影響が出る。ここは気温が1年中、14度で一定しています」と小松崎係長が話す。

 トンネル内は高さ2・5メートル、幅1・5メートルで人がすれ違うのがやっとの狭さだ。トンネルの奥には、昭和天皇が避難する予定だった部屋があり、コンクリート製の台の上に、今は使われなくなった古い地震計が並んでいた。

 橋本室長は「この小坑道と同じように、大坑道の地震計もコンクリート製の台の上に置かれています」と教えてくれた。

 精密地震観測室は、マグニチュード5・5程度以上の地震なら世界のどこで起きても検知し、震源の位置を特定できる。2台の地震計を中心に、直径約10キロ・メートルの円周上に7台の地震計を配置する独特の観測方式を採用しているためだ。「群列地震観測システム」と呼ばれ、大坑道に設置された2台の地震計も、この円周上にある。

 震源の方向は、丸く配置した地震計に地震波が届いた順番から特定できる。さらに、地震波には伝わるのが速い縦揺れ(P波)と、遅い横揺れ(S波)があるため、P波とS波の到達時刻の差をもとに、震源までの距離を計算できる。

(2013年8月18日 読売新聞)

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永瀬宗彦 - Nagase Munehiko

Author:永瀬宗彦 - Nagase Munehiko

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