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■大学院広報原稿案(短縮版)

私は本学哲学科を卒業後、機械メーカーに就職。平行して画家の活動しながら、社会人として哲学専攻を受験しました。入学後、平日昼間はフルタイムで働き、夜間のゼミに週4コマ参加しました。修士論文を含めて2年間で修了しています。以下、社会人の修士課程履修者としてお話します。

夜間のゼミは昼間に比べて履修者数が少なかったため、教員との膝詰めのゼミがほとんどでした。分からないことは気兼ねなく質問できましたし、丁寧に回答してもらえました。その内2つのゼミでは、私の研究領域であるカント美学を重点的に取り上げてもらえました。もちろん修士論文の指導も丁寧にしてもらえました。これはとても贅沢なことだと思います。

他方で、少人数のゼミは自分への指名および発表の頻度が高くなります。私も2年間、予習とレポート作成に追われる日々でした。

哲学専攻の修士課程はあくまで博士課程への「修行」の意味合いが強いため、原典の読解力、論理的な文章力を養うための基礎的な訓練が多く、単調かつ厳しい一面があります。社会人ということで手加減をしてもらえる場合もありますが、正面から取り組まないともったいないと思います。それと、社会人であっても最大年限の4年間を計画的に使えば、有益なカリキュラムが組めると共に、修士論文を書き上げる余裕もあると思います。

当ページをご覧になったということは、それぞれご自身の目的や考えがあるのだと思います。一方で、大学院は学問への寄与という使命を帯びています。また、そのための人材を求めているのだと思います。学費はしっかり学生が払いますが、お客様根性で臨めない場所なのです。両者の目的が合一して、お互いにとって有意義な時間になることを願っています。

最後に、働きながらの通学は周囲の理解を得ておくことが重要です。哲学の研究に投資対効果は期待できません。教授や職場はもちろん、家族や恋人などからも支持してもらうところからして、挑戦的な試みになると思います。そういった困難を乗り越えてのご健闘をお祈りしています。


正式版のコピー。質問表形式になっていたため、それにそって回答。
*研究テーマ:カント美学における「生(das Leben)」の意味

1/大学院進学を考えたきっかけや理由、また時期(タイミング)を教えてください。
私は本学哲学科を卒業後、機械メーカーに勤務していました。哲学の勉強は自主的に続けていて、通勤電車の中で哲学書を読む日々でした。特に芸術論に興味があり、様々な著作に挑んでいました。しかし残念ながら学部時代に勉強したことだけでは精読できない難解書も多く、自分自身、美学・芸術論の基礎理論を身につける必要性を感じていました。そんな折、本学大学院が昼夜開講および社会人入試をし始めたことを知りました。勉強や研究をするなら記憶力の良い若い内、つまり早ければ早いほど好機と考え、受験を決めました。齢28歳の時の事です。
2/学んでいる(学んだ)研究内容について教えてください。
カント美学『判断力批判』およびその周辺について主に学びました。彼独特の美感の受け取り方への理解、背景となる彼の哲学体系への理解、彼が影響を受けた18世紀当時のヨーロッパ思想への理解を深めました。さらに『判断力批判』のドイツ語原典の邦訳を通じて、難解と言われるカントのドイツ語の読解術を学びました。
3/本学大学院の魅力はなんですか?進学してよかったところを教えてください。
一つは、学生の自主性を重んじ、教員が学生のレベルによって柔軟に対応してくれる点です。私が通った夜間のゼミは昼間に比べて参加者が少なく、教員と膝詰めのことがほとんどでした。じっくり相談できましたから、教員の生徒への理解度は深く、適切な指導を受けることができました。2つのゼミでは、私の研究領域を重点的に取り上げてもらえました。このことが私の研究の進展に大きく寄与したことは言うまでもありません。
もう一つは、要求水準の高さ、勉強の厳しい点です。哲学専攻の修士課程はあくまで博士課程への「修行」の意味合いが強いため、原典の読解力、論理的な文章力を養うための基礎的な訓練が多く、単調かつ厳しい一面があります。しかしこの訓練を正面からこなせば、緻密で速い思考力と探求・遡及力、洞察力を育ててくれるでしょう。
さらに一つは、モチベーションの高い学生らによる「生きた議論」です。ゼミではトピックに応じて頻繁に議論があります。そこでは教員から様々な論点や解釈が示され、ゼミ参加者の意見も吟味されます。この中でお互いの理解度を確認し合い、間違った理解は補正され、新しい知識や考え方を獲得します。単に耳から聞いただけとは異なる、より構造的・立体的な理解が得られるでしょう。

4/大学院で身についたことはなんですか?(社会人の方は、どのように仕事に活かせたか教えてください)
1)研究対象の哲学に対する理解
2)語学力 - TOEIC等の点数向上。
3)日本語の文章力 – 論文や資料の編成能力向上。
どのように仕事に活かせたか?
語学力は会社の評価項目なので、或る意味直接活かせたことになります。ただし、一般的なテストを受けて力がついたことを証明する必要があります。一方、仕事上の資料作成や編成がより緻密で統合的になりました。

5/将来の夢、目標を教えてください。
日本を代表する画家になりたいです。

※以下は、社会人の方のみ、ご回答ください。

6/現在の仕事の内容について教えてください。
機械部品メーカーにてシステム部門の仕事をしています。コンピュータへの精通はもちろん、会計や社内業務への理解を必要としますし、プロジェクトの段取りを身に着け、多くの人に手伝ってもらわなければなりません。つまりマネージメント能力が求められ、難しい仕事が多いです。しかしその分、やり甲斐はあります。
他方、画家としての活動を活発に続けています。個展は12回を数え、私の絵が高校国語科教科書の表紙になるなど、具体的な実績を残しています。

7/仕事と研究の両立について教えてください。
「なぜ今、哲学を学ぶのか」この問いに答えられるでしょうか?しかも、自分だけでなく周囲の人を説得させるだけの答えをもってです。
社会人であっても最大年限の4年間を計画的に使えば、有益なカリキュラムが組めると共に、しっかりとした修士論文を書き上げるだけの時間ができると思います。私の周りにも複数の社会人の大学院生がいました。各人の目的・目標によってアプローチの仕方が異なりますから、それぞれ自分なりのスタイルで臨んでいました。たとえば次の通りです。
・社会人の矜持を持ち一般学生と同じ内容に真正面から挑む人。
・社会人ということで内容を自分に合わせてもらう人。
・一旦仕事を辞めて、じっくり勉強に取り組む人。
他にもいくつかのスタイルがありました。そして、上手くこなす人、途中で挫折する人、迷い苦しむ人など、在学中の様相も様々です。最初に抱いていた大学院のイメージと違うことも、往々にしてあります。
哲学の研究に投資対効果は期待できません。つまり、実務的なスキルは付きませんし、有益な資格が得られるわけでもありません。就職や給料に結びつけることは難しいでしょう。また、博士課程へ進むとなると、さらに身を賭す覚悟が必要です。この点で、働きながらの修士課程の通学に、自分自身をはじめ、教員・職場・家族・恋人といった周囲の理解を得ることは、それだけで困難で挑戦的な試みだと思います。
それでもなお、哲学に何かを欲して研究を目指すならば、それはきっと素晴らしいことです。この「何か」とは、冒頭の問いへの答えだと思います。ご健闘をお祈りしております。

8/学費の設定についてどう思いますか?また、学費をどのように捻出しましたか?
独身の社会人・会社員であれば支障のない範囲の出費と思われます。私は貯金から学費を出しました。家庭を持っている場合は残念ながらこの限りではないと思われます。


以上

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永瀬宗彦 - Nagase Munehiko

Author:永瀬宗彦 - Nagase Munehiko

画家・永瀬宗彦の雑記帳です。

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