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■鶴見線と京浜工業地帯(6)

鶴見小野から扇町までの間は、殊のほか短く感じられた。それが今日これまでで一番長い乗車距離だったのにも関わらずである。なぜか。それは見所が多すぎたからだ。

列車は工場地帯の中央を突き進む。日曜日でガラガラに空いる車内からは、窓を通して私の両脇にそれらの構造物が見える。それぞれの工場は敷地も建物も大きい。しかしながら、写真に収めるポイントは限られてくる。

こちらとしては建物をフレームいっぱいに映したい。そのため、どこが最適なパースペクティブか探るわけだが、通過するのは一度きり。しかも列車は容赦なく飛ばしている。とても初見でタイミングを取れるような状況ではない。

被写体となる工場が見えたと思ったら、雑木や別の建物に視界を阻まれて、そのうち反対側にはちがう被写体が見え出す、といった具合だ。工場,倉庫,煙突,砂山,クレーン,パイプ,貨車,大型トラック,運河,タンク,サイロ,橋脚,使途不明の機械群。そういったものが次々と通り過ぎていった。その度に私は車内を右往左往した。

遠くに銀光りするパイプで構成された高い構造物がひときわ目立って見えたと思ったら、ほどなく車内アナウンスが流れ出して、終着の扇町駅に到着することを告げられた。その前にも何度か駅で停まっていたが、それがどの駅なのか全く覚えていなかった。

列車は車止めのあるホームにゆっくりと入線した。隣には、貨車が走るための線路が並んでいて、駅を通り過ぎて続いていた。恐らく海際の岸壁まで続くのだろう。終点が海の線路には、何か感慨深いものがある。

列車から降りると、それまでのせわしなさが嘘のようにゆっくりと時間が流れていた。ホームには猫がいて、他の女性客からかわいがられていた。改札方面に進むと、さらに2,3匹の猫がいた。彼らは静かな午後の光に照らされながら、眠ったり、餌を食べたり、物憂げに歩いたりしていた。

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永瀬宗彦 - Nagase Munehiko

Author:永瀬宗彦 - Nagase Munehiko

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