三浦半島突端の海岸線に露出した地層は実は水平ではない。それは45度ほどの角度で空に向かっている。押し上げられたのか、落ち込んだのかはわからない。しかしこの一帯が、地殻変動による衝突点のひとつであることを容易に推察できた。私は、その絶望的な自然の力に、私がその場にいることに、えもいわれぬ恐怖を感じた。
このスケッチは実はただの海岸の絵ではなく、そういった岩石や地層を描いたものである。手前の水際の岩、向こう側に見える岬の露出した岩肌、これらがいずれも異様な形状であることに注目していただきたい。
Nagase Munehiko, water color <1999/7>